お江さんが「川魚の甘露煮はありきたりだから、与助煮にしなさい」とアドバイスをくれたんです

私が甘露煮を始めた頃、芦田川では川魚がいっぱい獲れて、甘露煮はここら辺では珍しくなかったですから、『恋しき』の先代の奥様であるお江さんが「川魚の甘露煮はありきたりだから、与助煮にしなさい」とアドバイスをくれたんです。宿泊のお客さんのお土産に使ってくださって。お土産に持って帰られた方がまた宣伝してくれるでしょう。そのおかげさんで今までやってこれたようなもんです。


恋しきさんが無かったら、この通りもダメになっていたかもしれない。

『恋しき』さんの前をちょっと通りょうてもね、「こっちへおいで」と誘ってくれてお菓子をくれたりね。子供同士が同級生だったこともあるし、先代の奥様のとしちゃんとは炬燵で話をしたり、よく建物の中もあっちこっち見せてもらったりしてましたよ。『恋しき』さんが料亭旅館の営業を辞めた後も、建物が壊されることがなくて本当に良かったですよ。府中も古い建物が段々なくなってますからね。『恋しき』さんがなかったら、この通りもダメになっとったでしょう。ほんとにおかげさんですよ。皆さんのおかげさんでここまでやってこられて、ありがたいなと思ってます。